2019/11/07

第17回オンキヨー世界点字作文コンクール入選作品発表
オンキヨー株式会社、公益財団法人「日本教育科学研究所」主催、毎日新聞社点字毎日特別協力で開催いたしました
第17回オンキヨー世界点字作文コンクールの入選作品が決まりましたのでお知らせいたします。

本年も、世界中から多数の心に響く作品をお送りいただき、ありがとうございました。
最優秀オーツキ賞には、

・ 日本国内は、木川 友江さん(東京都 52歳・女性)
・ アジア・太平洋地域は、コン・ウェイツェンさん(マレーシア 25歳・女性)
・ 西アジア・中央アジア・中東地域は、ユリア・ヤンワチノワさん(キルギス 34歳・女性)
・ ヨーロッパ地域は、タマラ・アンドレーワさん(ロシア 88歳・女性)
が選ばれました。おめでとうございます。

 オーディオ・ビジュアル機器メーカー「オンキヨー株式会社」と公益財団法人「日本教育科学研究所」、「毎日新聞社 点字毎日」は、人を結ぶぬくもりをより身近に感じておられる視覚障害者の世界に、点字と音の懸け橋をしっかり築きたいという願いから、2003年に「オンキヨー点字作文コンクール」を創設しました。04年からは海外部門も設けて拡大し、11年の第9回からは「オンキヨー世界点字作文コンクール」として毎年実施しています。

第17回を迎えた今年のコンクールは、国内部門のほか、海外部門で、世界盲人連合アジア・太平洋地域協議会(WBUAP、21カ国・地域=日本を除く)、アジア盲人連合(ABU、西アジア・中央アジア・中東地域、23カ国)、ヨーロッパ盲人連合(EBU、ヨーロッパ地域、41カ国)の加盟国を対象に作品を募集。世界的な作文コンクールとして、異文化コミュニケーションの輪を広げ、複雑化する国際社会をつなぐ懸け橋となっております。

さらに2015年からは音楽との融合を考え、国内部門で「作詞賞」を設けました。2014年、視覚障害者の家族、学校や職場、地域で接する方に思いを寄せてもらうため設けた「サポートの部」と合わせ、広く輪が広がることを期しました。本年もこの作詞賞受賞作品に、ボーカリストで作編曲家の徳永暁人さんに曲を作っていただきました。国内、海外の視覚障害者の思いや生き方が、読んでくださるみなさまに伝わり、共に生き、共に奏でる温かいハーモニーが社会に響けばと願っています。

●国内部門は11月7日、オンキヨー株式会社東京オフィス(両国)にて表彰式を開催しました。表彰式には、木川さん、宇佐さんの受賞者のほか、作詞賞受賞作に曲をつけていただいたボーカリストで作編曲家の徳永暁人さんが出席され、生の演奏で受賞曲が披露されました。
●海外部門の表彰式は、入賞各国において行います。

人と人のつながりがもたらす豊かな人生

公益財団法人 日本教育科学研究所
理事長 大朏 直人(おおつき なおと)

 

 回を重ねてもなお、皆さんから寄せられる作品を通して、視覚障害者をとりまく様々な環境に新たな驚きや発見があり、作者の皆さんの瑞々しい想いや洞察に深い感動を与えられ勇気づけられています。今回の国内部門では人と人との関わりが人生を豊かに彩る様に感動し、海外部門では受賞者を取り巻く環境について考えさせられました。
国内最優秀オーツキ賞を受賞された木川友江さんの作品には、30年以上も前の中学時代の友人が盲学校の先生になる夢を叶えたとの報せが届き、友人とのかけがえのないつながりが活き活きと描かれ、とても微笑ましい気持ちになる作品でした。
海外WBU-AP(世界盲人連合アジア・太平洋地域協議会)地域最優秀オーツキ賞のコン・ウェイツェン(マレーシア)さんの作品では、「障害は成功への妨げにはならない」という強固な信念の下、次々と高い目標を実現し、さらには障害者を取り巻く環境の改善やコミュニティーの成長のために尽力するコンさんの姿勢に頼もしい思いがいたしました。海外ABU(アジア盲人連合)最優秀オーツキ賞のユリア・ワンノチノワ(キルギス)さんの作品では、デジタル社会の変化がもたらす未来について考察されています。そしてそれはあらゆる人に起こり得る変化であり、それぞれの立場でどう捉えどう対応して行くのかとの問いかけに、私自身も考えさせられました。海外EBU(ヨーロッパ盲人連合)最優秀オーツキ賞のタマラ・アンドレーワ(ロシア)さんの作品は、点字盤が文字通りタマラさんの命を救ったお話しですが、1篇の映画を観終わったような壮大な物語であり、過酷な環境の中でも一時も手離すことのなかった点字盤と人生のつながりに圧倒される思いでした。
国内部門の「作詞賞」は、歌人の松村由利子さんに優秀作3点を選考いただき、作曲いただいた徳永さんにもご協力いただき選考いたしました。大切な人へ思いが届くようにと、一点一点慣れないながらも一生懸命文字を打っている情景が思い浮かびます。とかくメールで簡単に済ませてしまいがちな昨今、宇佐さんが心を込めて書いた手紙を受け取る人は誰だろう、受け取った人は格別に嬉しいだろう、そんな想像も楽しい作品でした。

 最後になりましたが、本年も心に響く素晴らしい作品を届けて下さった皆様、心からお礼を申し上げます。そして長年多大なるご支援をいただいております、毎日新聞社様、点字毎日様、参加各国への作品募集や審査・表彰を執り行っていただいたWBU-AP、ABU、EBUの皆様、ならびに各国でご支援いただいた方々に心よりお礼申し上げます。
グローバル化が進む中、さまざまな立場の人々が理解し合って共存する世界を築くこと、平和で思いやりに満ちた日々を未来に向かって築いていくことは、ますます重要で尊いことと感じています。これからも本コンクールがその一助となり、さらに異文化コミュニケーションの交流が拡がることを心より願っています。