2003年10月3日
オンキヨー株式会社

多数の感動作品のご応募ありがとうございます。
第1回 点字作文コンクールの入選作が決まりました。
最優秀大朏(おおつき)賞に、大阪市の藤野高明さん「平和への願い」が選ばれました。

 

○コンクール詳細はこちら

 

オンキヨー株式会社と毎日新聞社点字毎日が本年3月より開催した第1回点字作文コンクールの入選作品が決まりましたので、お知らせいたします。

 

本コンクールは、視覚障害者の皆様に点字と音の懸け橋を築いてゆきたいとの願いから、本年3月から募集を開始したもので、合計117編の作品が日本全国から寄せられました。作家の藤本義一氏と主催者による審査の結果、最優秀大朏(おおつき)賞には、大阪市の元大阪市盲学校教員の藤野高明さん(64)の作品「平和への願い」が選ばれました。また、小学6年生の鳥居健人さん(11)の「ドラムとの出会い」が小中学生を対象の「特別賞」を受賞されました。
なお、表彰式は最優秀大朏賞の藤野さんを当社にお招きして10月下旬に行います。
今回がはじめてのこのコンクールへ多くの皆様から感動的な作品が多数寄せられましたことに、お礼を申し上げます。当社では引き続き、視覚障害者の皆様にゆたかな音楽の世界をお届けするため、快適なサウンドのオーディオシステムや、使いやすさをアシストする「ラクラクキット」のご提供を続けてまいります。
改めまして、今回お寄せいただきました沢山の作品からいただきました感動を、これからの魅力ある製品つくりに生かしてゆきたいと思います。

 

たくさんの感動をありがとうございます。

オンキヨー株式会社 代表取締役会長兼社長 大朏直人

公益財団法人 日本教育科学研究所
理事長 大朏 直人(おおつき なおと)

視覚障害者の皆様に点字と音のかけ橋を築いてゆきたいとの願いから、毎日新聞社のご賛同を得てこのようなコンクールを開催することができましたことを、心から喜んでおります。
私は、テクノエイト株式会社にて点字プリンターを手がけ、オンキヨーでは <気持ちのよい音を、視覚障害者のみなさんご自身で接続操作して楽しんでいただけたら> との思いからラクラクキットを開発してまいりました。といいますのも、私がまだ猪突猛進で突っ走っておりましたころ、ある視覚障害の少女と出会い、その少女から、健常者の方よりもはるかにすばらしい感動を教えてもらったことがあり、その後も、視覚障害の人たちからたくさんの心の栄養分を頂戴してきました。審査をお願いした藤本先生も言われていたのですが、健常者以上に美しい感受性と強い意思をお持ちの皆様とともに在って、体験を分かち合うことの喜びを、ずっと続けてゆきたい。このことを、この気持ちを、一生ふくらませてゆきたいと思っています。
このコンクールでも、多くの感動の作品に接することができました。
コンクールですので一応の選考ということをさせていただきましたが、入選かそうでないかに関係なく、熱いお気持ちを点字に託して届けていただきました応募者全員の皆様に心よりお礼を申し上げます。とくに優秀賞の川村さんのご家族との温かい心の交流、そして小学校6年生の鳥居(とりい)さんの音楽と取り組む元気な姿が印象に残りましたが、なんといいましても、最優秀大朏賞に輝きました藤野さんの作品<平和への願い>には、本当に長い年月の奥深い体験、若々しい理想と情熱を感じることができました。ありがとうございます。当社は今後も、バリアフリーの活動をさらに継続して進め、快適な音を広めてまいります。このコンクールも、さらに発展させてゆきたいと思っておりますので、みなさまのさらなるご協力をお願いしますとともに、次回も新しい感動がまた届きますことを楽しみにしております。みなさま本当にありがとうございました。藤野さん、おめでとうございました。これからも元気にご活躍していただきますようお祈りいたします。

 

受賞作品は次の通りです。

◎最優秀大朏(おおつき)賞  正賞20万円とオンキヨーステレオ・ラクラクキット付き

「平和への願い」 大阪市 藤野高明(ふじのたかあき)さん(64)

◎優秀賞  正賞10万円とオンキヨーステレオ・ラクラクキット付き

「私の挑戦」 三重県津市 川村光男(かわむらみつお)さん(43)

◎佳作(3編)  正賞5万円とCD券2万円分

「私の挑戦」  長野県 岸田正秀(きしだまさひで)さん(26)

「私の挑戦」  大津市 濵本捷子(はまもとかつこ)さん(61)

「点字が私を変えた」  東京都 鬼塚洋子(きづかひろこ)さん(58)

◎特別賞  オンキヨーステレオ・ラクラクキット付き

「ドラムとの出会い」  東京都 鳥居健人(とりいけんと)さん(11)

  • 入選作品は、作品タイトルのリンクからご覧いただけます。
  • 音声読み上げソフトをご利用される場合、本来の読み方とは異なることがありますので、ご了承ください。

審査会の様子

審査会の様子

「点字作文コンクール審査評」 藤本義一


—自己凝縮の妙

藤本義一氏

最優秀賞の藤野高明さんの作品は、限られた字数の中で実に凝縮した自己の意見を過去、現在、そして願いという未来に対して書いている点に評価が集まった。どの一行にも作者の深い心情が喜びと悔しさを語っている。
私の友人の一人にも同じような戦後体験を過ごしている者を思い出した。藤野さんの生き方で、同じ境遇の人が大きな希望を持てるのを考えると、これからの人生でさらに深い人間の心情を書きつづけて欲しい。冷酷な現代に常に冷静な視線を注いで欲しいものである。
優秀賞の川村光男さんの作には、ごく自然な家庭の暖かさが漂っている。特に娘さんとの短い会話の中に、お互いの豊かな心情が宿っているのが素晴らしい。現代の日本人が忘れかけている日常の危機感が苦しい現実を救う一言、ひとつのテープで掬いあげられているところが自然でいい。この作者の心情をもっと深く掘り下げれば最優秀になったと思う。ゴルフに流れてしまったのがなんとしても惜しい気がする。
佳作の岸田正秀さんと濵本捷子さんの作品には共通する弱点がある。それは既に衆知の声優や作家の作品に対してかなりの字数を尽している点である。たしかに自分が影響を受けた人たちの事を書くのは間違っていないが、そのために自分自身の姿が希薄になってしまうというのに気付いてほしい。岸田さんは“声”の奥深さをもっと語るべきだし、濵本さんは盲導犬との心情の移行に真正面からの意見を語る必要があると思う。
もう1編の佳作である鬼塚洋子さんの作品は、1歩ずつ前進するエネルギーを点字から得た実感が伝わってくる。点字で得た自分の力が尊い。
「ドラムとの出会い」の鳥居健人君はリズムのある文体で自分のこれからの生き方を素直に語っている。が、他の大人たちの作品と比較して審査するのは困難だから、今回は年齢的な面から特別賞ということに一同で決定した。ドラムを青春の唯一のリズムにして、これからの夢を大きく描いていって欲しい。
最後にどうしても惜しかったのが、与那嶺岩夫さんの「点字が私を変えた」である。語り手、書き手の自分を客観視して、散文が小説体になってしまったのが全体を浮き上らせてしまったといえる。筆力としては最終選考に残った中で一番なのだが、物語があまりにも小説風になってしまったところに難がある。劇的に自分を語らないように。

 


  • 結果は点字毎日(点字版10月5日号、活字版10月9日号)および同時期の毎日新聞でも発表いたします。
  • 点字毎日点字版で入選作品が順次掲載されます。
  • 本コンクール入選作は、作品集としてまとめたものを、盲学校をはじめ視覚障害者団体に寄贈いたします。
  • 最優秀賞は当社代表取締役会長兼社長 大朏直人(おおつき なおと)から名づけたものです。
  • 副賞のオンキヨーステレオはインテック275 M7システムです。

 

* オンキヨーはラクラクキットを通じてバリアフリーを推進しています。ラクラクキットは無料でご提供しています。→ONKYOバリアフリーサイト「らくらく館」はこちら
* テクノエイト株式会社は点字プリンターを通じてバリアフリーを推進しています。テクノエイト点字プリンターはこちら


 

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本来の読み方とは異なることがありますので、ご了承ください。