2010/11/01

 

オンキヨー株式会社と毎日新聞社点字毎日が開催いたしました、第8回点字作文コンクールの入選作品が決まりましたのでお知らせいたします。

 

本年も、世界中から多数の心に響く作品をお送りいただき、ありがとうございました。
最優秀オーツキ賞には、

  • 日本国内は、竹内昌彦(たけうち まさひこ)さん(岡山県 65歳 男性)
  • アジア・太平洋地域は、ジェニー・ハルヤニさん(インドネシア 58歳 女性)
  • 西アジア・中央アジア・中東地域は、バボージャ・ランジャン・ショードリーさん(インド 37歳 男性)
  • ヨーロッパ地域は、アン・ヨンソンさん(スウェーデン 51歳 女性)
  • 北米・カリブ地域は、ニジャ・アシュラフザダ・ウォーリーさん(アメリカ 20歳 男性)

が選ばれました。おめでとうございます。

 

オンキヨー株式会社と毎日新聞社 点字毎日は、人と人を結ぶぬくもりをより身近に感じておられる視覚障害者の世界に、点字と音声の懸け橋をしっかり築きたいという願いから、2003年に「点字作文コンクール」を創設いたしました。 2004年からは世界盲人連合アジア・太平洋地域協議会(WBU-AP、21カ国)、また2006年からは同じく世界盲人連合の加盟組織、アジア盲人連合(ABU、西アジア・中央アジア・中東地域、21カ国)、さらに2007年からはヨーロッパ盲人連合(EBU、45カ国)、そして、2009年から北米・カリブ地域(WBU-NAC地域、21カ国)が加わり、参加各国の協力を得て、世界に広がる作文コンクールとして大きく成長しています。

視覚障害者の方々のたくさんの想(おも)いが、作品を通して世界中に伝わり、そこから人と人とが理解しあい、協力し合える、共存の世界へ……、本コンクールがそんな世界を実現させる第一歩になればと願っています。 また、弊社では素晴らしい音楽の世界をお届けするため、視覚障害者の皆様にオーディオの使いやすさをアシストする【ラクラクキット】の提供を続けさせていただくと共に、たくさんの応募作品から頂戴しました感動を、これからも魅力ある製品づくりにいかしたいと願っております。

 

●国内の部の表彰式は、最優秀オーツキ賞の竹内さんを弊社大阪本社にお招きして、11月16日におこないます。
●海外の部の表彰式は、入賞各国においておこないます。

 

 

点字や音楽が思いを伝える手段のひとつに

 

公益財団法人 日本教育科学研究所
理事長 大朏 直人(おおつき なおと)

1890年11月1日 – これは、正式に日本点字が採用された日で、以後11月1日は「点字記念日」となっています。点字が海外から日本に入ってきたのは1880年ごろ、今から約130年前のことでした。それから約10年、盲学校の教員であった石川倉次氏が日本語向けに点字の改良を重ね、1890年に正式に日本点字として採用されました。 日本点字が採用されてから120年となる本年度、オンキヨー点字作文コンクールは8回目を迎えます。本年度も世界各国から想いの詰まった作品が多数届けられ、点字を通してたくさんの方々とつながる喜びがますます広がっています。音楽を通して、点字を通して、今後も本コンクールが、世界中の人々へ思いが伝わっていくきっかけになっていくことを、願ってやみません。

最優秀オーツキ賞を受賞された竹内さんの作品では、高校生の時の試験結果がなぜか1点減点されていた理由を先生に聞いてみると「訂正が多いから」というものでした。普通であれば文句が言いたくなるところを、竹内さんは「君ならできる」という先生からのメッセージと素直に受け止め、人生までも変えていかれました。教員になられても当時のことを思い出し、生徒を人間として育てようという姿勢を持ち続けられたことは本当にすばらしいことだと感じました。ご定年が近くなり恩師と再会された際のエピソードからも竹内さん、そして恩師の方のお人柄が伝わってきてほほ笑ましくなりました。
海外WBU-AP地域最優秀オーツキ賞の、ジェニー・ハルヤニさん(インドネシア)の作品では、点字だけの勉強ではなく、言葉の壁を越えた障害もあり、苦労をされた様子が目に浮かびます。神様からジェニーさんの願いをかなえるための救いの手を差し伸べられたことにより、大きな幸せを手に入れることができたのは、「熱意と真摯(し)な心の在り方が問題を解く鍵である」を常々思われていたからでしょう。今後はドイツ語教師になるという夢に向かって頑張っていただきたいと思います。
海外ABU地域最優秀オーツキ賞のバボージャ・ランジャン・ショードリーさん(インド)の作品は、環境問題の現状や環境問題に対する自分自身の考え方など分かりやすくまとめられた論文だと思います。環境問題が深刻になる中で、まずは私たち企業を筆頭に、そして個人一人一人が、できることから環境問題に積極的に取り組んでいかなければならないと、改めて気づかされました。
海外EBU地域最優秀オーツキ賞のアン・ヨンソンさん(スウェーデン)の作品では、自信を持って生きることが、充実した人生を送る上で非常に大切なことだと改めて考えることができました。もっとも、自信を裏付けるためには、自分が納得するまで努力をし、練習しなくてはなりません。アン・ヨンソンさんの文章からはその思いを強く抱いていることが伝わってきました。点字の世界と文字の世界。両方の世界を知っているアン・ヨンソンさんは両世界の懸け橋となるような存在なのだなと思いました。
海外WBU‐NAC地域最優秀オーツキ賞受賞のニジャ・アシュラフザダ・ウォーリーさん(アメリカ)。この作品では、点字を通して世界をどんどん広げていく姿から希望にあふれた未来が想像できました。これからも、あなたの世界は広がり続けるでしょう。点字によって手にした「独立と自由」とともにこれからも心の運動を続けてください。

最後になりましたが、心に響く作品を本コンクールに届けて下さった皆様、素晴らしい作品をありがとうございました。そして共催者として多大なるご支援をいただきました毎日新聞社様、点字毎日様、参加各国への作品募集や審査・表彰を執り行っていただいたABU(アジア盲人連合)、WBU-AP(世界盲人連合アジア・太平洋地域協議会)、EBU(ヨーロッパ盲人連合)、WBU-NAC(世界盲人連合北米・カリブ地域協議会)の皆様、ならびに各国でご支援いただいた方々に心よりお礼申し上げます。
現代に生きる私たちは、さまざまな立場の人同士が助け合い、共存する世界を未来に向けて築いていかなければなりません。本コンクールが、さらに世界中に点字が普及するきっかけとなり、ますます異文化コミュニケーションが進展することを願います。

 

 

オンキヨーはラクラクキットを通じてバリアフリーを推進しています。ラクラクキットは無料で提供しています。

 

オンキヨーエンターテイメントテクノロジー株式会社は、点字プリンターを通じてバリアフリーを推進しています。

過去の入選作品