2017/11/01

第15回世界点字作文コンクール入選作品発表

 

オンキヨー株式会社、毎日新聞社点字毎日と公益財団法人「日本教育科学研究所」が開催いたしました、
第15回オンキヨー世界点字作文コンクールの入選作品が決まりましたのでお知らせいたします。

本年も、世界中から多数の心に響く作品をお送りいただき、ありがとうございました。 最優秀オーツキ賞には、

・ 日本国内は小林 由紀さん(京都市 45歳 女性)
・ アジア・太平洋地域は、リム・ユー・イーさん(マレーシア 33歳 男性)
・ 西アジア・中央アジア・中東地域は、マノジ・ヤーダヴさん(インド 29歳 男性)
・ ヨーロッパ地域は、マリナ・ヴァレンティさん(イタリア 61歳 女性)
・ 北米・カリブ地域は、ジェシー・メイブリさん(アメリカ 33歳 女性)

が選ばれました。おめでとうございます。

 

 オーディオ・ビジュアル機器メーカー「オンキヨー株式会社」と公益財団法人「日本教育科学研究所」、「毎日新聞社 点字毎日」は、人を結ぶぬくもりをより身近に感じておられる視覚障害者の世界に、点字と音の懸け橋をしっかり築きたいという願いから、2003年に「オンキヨー点字作文コンクール」を創設しました。04年からは海外部門も設けて拡大し、11年の第9回からは「オンキヨー世界点字作文コンクール」として毎年実施しています。

 第15回を迎えた今年のコンクールは、国内部門のほか、海外部門で、世界盲人連合アジア・太平洋地域協議会(WBUAP、21カ国・地域=日本を除く)、アジア盲人連合(ABU、西アジア・中央アジア・中東地域、22カ国)、ヨーロッパ盲人連合(EBU、ヨーロッパ地域、42カ国)、北米・カリブ地域協議会(WBU-NAC、21カ国)の106カ国を対象に作品を募集。世界的な作文コンクールとして、異文化コミュニケーションの輪を広げ、複雑化する国際社会をつなぐ懸け橋となっております。

 さらに2015年から、音楽との融合を考え、国内部門で「作詞賞」を設けました。2014年、視覚障害者の家族、学校や職場、地域で接する方に思いを寄せてもらうため設けた「サポートの部」と合わせ、広く輪が広がることを期しました。前回(2016年)に引き続きこの作詞賞に、ボーカリストで作編曲家の徳永暁人さんに曲をつくっていただきました。国内、海外の視覚障害者の思いや生き方が、読んで下さる皆様に伝わり、共に生き、共に奏でる温かいハーモニーが社会に響けばと願っています。

●国内部門の表彰式は、入選者を代表して、 最優秀オーツキ賞の小林由紀さんと作詞賞の辻本唯衣さんを 東京都中央区のオンキヨー八重洲ビルにお招きして、11月6日におこないました。

●海外部門の表彰式は、入賞各国においておこないました。

人生の豊かさに共鳴

公益財団法人 日本教育科学研究所
理事長 大朏 直人(おおつき なおと)

 

 開催から15回目を迎えられたことは大変喜ばしいことと感じています。今年もまた数々の力作に触れ心躍らせながら審査を行いました。最優秀オーツキ賞はじめ各部門で議論伯仲いたしましたが、審査員が全員納得した作品が受賞作品として選ばれました。

 オーツキ賞を受賞された小林由紀さんの作品は情景描写の美しさに圧倒されました。その中に込められた強い意志や勇気ある行動が自分をそして周囲を変えて行く様子に感動しました。

 海外WBU-AP(世界盲人連合アジア・太平洋地域協議会)地域最優秀オーツキ賞のリム・ユー・イー(マレーシア)さんの作品では、ヘレンケラーの言葉との出会いが、ご自身が自立し充実した人生を送るための大きな支え、励みとなり、困難を乗り越え日々学ぼうという姿勢がとてもたくましく感じられました。海外ABU(アジア盲人連合)最優秀オーツキ賞のマノジ・ヤーダヴ(インド)さんの作品では教育の必要性とその内容について深く考察されており、また教育を受けた人が果たすべき役割をこの世界情勢に照らして提案されていました。世界平和を実現するために何ができるか私自身も問いかけ続けたいと思います。海外EBU(ヨーロッパ盲人連合)最優秀オーツキ賞のマリナ・ヴァレンティ(イタリア)さんの作品では、ご自身は点字を使うことで自立した生活を送ることができると感じながらも、そうではないという考え方の人との関わりで点字を自由に使えない状況になった苦しさとともに、点字の必要性について強く訴えられています。この思いが周囲に通じることを心から祈るばかりです。海外WBU-NAC(世界盲人連合北米・カリブ地域協議会)最優秀オーツキ賞のジェシー・メイブリ(アメリカ)さんはある日、大学入試の小論文を見つけられます。そこにはもっとも重要だと思う発明として点字を挙げ、点字によって人生が豊かになったことと点字発明者のルイ・ブライユへの感謝が綴られていました。人生を豊かに過ごすには点字がどれほど重要であるか、改めて気づかせてもらえる作品でした。

 そして「作詞賞」は昨年同様、歌人の松村由利子さんに優秀作3点を選考いただき、さらには今回作曲された徳永さんにもご協力いただき選考いたしました。受賞された辻本唯衣さんの作品は、読んでいるこちらが元気になる程、シンプルな言葉で活き活きと学校生活を表現されていました。徳永さんも、今回は女性ボーカルによる歌唱を選択され、とても可愛らしい楽曲に仕上げていただきました。 

 グローバル化が進む中、さまざまな立場の人同士が理解し合って共存する世界はますます望まれていることは想像に難くなく、私たちは平和で思いやりに満ちた日々を未来に向かって築いていかなければなりません。本コンクールがその一助となり、点字がさらに広く普及し、ますます異文化コミュニケーションの交流が拡がることを心より願います。