2011/11/01

 

オンキヨー株式会社と毎日新聞社点字毎日が開催いたしました、第9回世界点字作文コンクールの入選作品が決まりましたのでお知らせいたします。

 

本年も、世界中から多数の心に響く作品をお送りいただき、ありがとうございました。
最優秀オーツキ賞には、

  • 日本国内は、前田康夫(まえだ やすお)さん(東京都 63歳 男性)
  • アジア・太平洋地域は、ルシータ・R・マナパークさん(フィリピン 23歳 女性)
  • 西アジア・中央アジア・中東地域は、サバ・エル・コウリーさん(ヨルダン 29歳 女性)
  • ヨーロッパ地域は、テレサ・ボルネス・アバスカルさん(スペイン 89歳 女性)
  • 北米・カリブ地域は、キム・キルパトリックさん(カナダ 45歳 女性)

が選ばれました。おめでとうございます。

 

オンキヨー株式会社と毎日新聞社 点字毎日は、人と人を結ぶぬくもりをより身近に感じておられる視覚障害者の世界に、点字と音声の懸け橋をしっかり築きたいという願いから、2003年に「点字作文コンクール」を創設いたしました。 2004年からは世界盲人連合アジア・太平洋地域協議会(WBU-AP、21カ国)、また2006年からは同じく世界盲人連合の加盟組織、アジア盲人連合(ABU、西アジア・中央アジア・中東地域、21カ国)、さらに2007年からはヨーロッパ盲人連合(EBU、45カ国)、そして、2009年から北米・カリブ地域(WBU-NAC地域、21カ国)が加わり、参加各国の協力を得て、世界に広がる作文コンクールとして大きく成長しています。
視覚障害者の方々のたくさんの想(おも)いが、作品を通して世界中に伝わり、そこから人と人とが理解しあい、協力し合える、共存の世界へ……、本コンクールがそんな世界を実現させる第一歩になればと願っています。 また、弊社では素晴らしい音楽の世界をお届けするため、視覚障害者の皆様にオーディオの使いやすさをアシストする【ラクラクキット】の提供を続けさせていただくと共に、たくさんの応募作品から頂戴しました感動を、これからも魅力ある製品づくりにいかしたいと願っております。

 

●国内の部の表彰式は、最優秀オーツキ賞の前田さんを弊社大阪本社にお招きして、11月8日におこないます。
●海外の部の表彰式は、入賞各国においておこないます。

 

思いは世界へ、思いを世界に

公益財団法人 日本教育科学研究所
理事長 大朏 直人(おおつき なおと)

 

はじめに、本年3月の東日本大震災により被災された皆様に謹んでお見舞いを申し上げます。今回、ご応募いただいた作品の中にも、被災地を気遣う内容が多くありました。一日も早い復興をお祈り申し上げます。
さて2003年に創設した点字作文コンクールも第9回を迎えることとなりました。点字を通して世界中のたくさんの人々の思いがつながり、そして広まっていくことを願って本年より「オンキヨー世界点字作文コンクール」とタイトルも新たにし、世界128カ国を対象に開催いたしました。

最優秀オーツキ賞を受賞されました前田さんは、ご自分の人生と、時の流れの中で変わっていった町並みを3枚の地図に重ね合わせ、そこから、人間としての謙虚さや情熱が東日本大震災の被災地の復興の力になると結んでおられます。読めば読むほど、いろいろな情景が頭に浮かび、そこに込められた想いが伝わってくるようで、深い味わいのある素晴らしい作品だと感じました。
海外ABU最優秀オーツキ賞のサバ・エル・コウリーさん(ヨルダン)は、視覚障がい者に必要なことは哀れみではなく、平等だと作品を通じて強く訴えておられます。私たちが持つ誤った概念が障がい者の皆さんの普通でありたいという気持ちを傷つけ、可能性までも奪っているのであれば、それはあってはならないことと重く受け止めました。
海外WBU-AP地域最優秀オーツキ賞のルシータ・R・マナパークさん(フィリピン)の作品からは、まず視覚障がい者の多くの人が夢見る音楽家への道に立ちはだかる大きな困難があり、しかし、それを夢の実現のための励みにし、視覚障がい者たちが偉大な音楽家の一人になることで、いろいろなものの見方が変えられるという不屈の精神が感じられました。ルシータさんには、これからも強い意志を持ち続けることで、必ず夢をかなえていただきたいと思います。
海外EBU最優秀オーツキ賞のテレサ・ボルネス・アバスカルさん(スペイン)の作品からは、子供の頃、戦争に勉強する機会を奪われた失望にはじまり、88歳の今も何事にもあまり興味がない寂しさの中で、点字がもたらしてくれる生きがい。そして点字と点字の発案者であるルイ・ブライユへの感謝の気持ちが伝わります。これからも末永く点字とともに生きがいのある日々を送っていただければと願っております。
海外WBU-NAC最優秀オーツキ賞のキム・キルパトリックさん(カナダ)の作品には、点字が自分の大好きな本を読むことを可能にしてくれた、そして科学技術の進歩もあって、充実した生活を送ることができる喜びが描かれています。まるで大好きな本を片手に持ち笑顔のキムさんの姿が想像できるかのようです。

最後になりましたが、心に響く作品を本コンクールに届けて下さった皆様、素晴らしい作品をありがとうございました。そして共催者として多大なるご支援をいただきました毎日新聞社様、点字毎日様、参加各国への作品募集や審査・表彰を執り行っていただいたABU(アジア盲人連合)、WBU-AP(世界盲人連合アジア・太平洋地域協議会)、EBU(ヨーロッパ盲人連合)、WBU-NAC(世界盲人連合北米・カリブ地域協議会)の皆様、ならびに各国でご支援いただいた方々に心よりお礼申し上げます。
現代に生きる私たちは、さまざまな立場の人同士が助け合い共存する世界を、未来に向けて築いていかなければなりません。本コンクールが、さらに世界中に点字が普及するきっかけとなり、ますます異文化コミュニケーションが進展することを願います。

 

 

オンキヨーはラクラクキットを通じてバリアフリーを推進しています。ラクラクキットは無料で提供しています。

オンキヨーエンターテイメントテクノロジー株式会社は、点字プリンターを通じてバリアフリーを推進しています。

過去の入選作品